当ブログではシンガポールリートへの投資を推していますが、残念ながら日本から容易に投資する方法が見つかりません。
Jリートでも安定的に年間4%の配当利回りは実現できるので悪くないのですが、海外リートに投資してもっと高い利回りを実現したいと思いませんか?
日本から簡単に投資できる海外リートとして香港リートのスプリングリートがあります。
今回はこのスプリングリートの配当利回りについて検証し、ポートフォリオに追加するとどういう意義があるのかを考えてみます。
- 対象:より高い配当利回りを求める投資家
- 得られること:日本から投資できる海外リートであるスプリングリートの利回りと投資する意義がわかります。
スプリングリートとは?
スプリングリートとは香港上場のリートです。
運営会社はSpring Asset Managementで、これは日本の東証一部に上場しているマーキュリアインベスト(7190)の子会社です。
つまり、スプリングリートは、日本のマーキュリアインベストメントが運営している香港リートです。
マネジメントチームの中に佐柄木伸匡さんが入っていて、マーキュリアインベストメントの代表取締役でもある豊島俊弘さんがスプリングリートの会長も兼ねています。
マネジメントチームの人員構成からも、マーキュリアインベストメントが深く関与していることがわかります。
香港証券取引所に上場していて取引コードは1426、時価総額はおよそ45億香港ドル(約640億円)です。
香港リートの時価総額最大銘柄はリンクリートで時価総額が1920億香港ドル(約2兆7000億円)ですから、スプリングリートは香港リートの中でもかなり時価総額が小さい部類です(実質的に下から二番目)。
通常時価総額が小さいリートへの投資はできるだけ避けるのですが、スプリングリートの場合日本の上場会社が運営するリートですから大きく心配することはないでしょう。
スプリングリートへの投資方法は?
通常香港リートは日本の大手ネット証券では取り扱っていません。
ただ、スプリングリートだけは取り扱いがあります。
確認したところ、
- 楽天証券
- マネックス証券
- SBI証券
全てで取扱がありました。
逆に、大手ネット証券ではスプリングリート以外の香港リートは扱っていませんでした。
スプリングリートは日本の大手ネット証券で取扱がありますので、通常の香港株と同様に注文すれば投資できます。
スプリングリートの投資対象は中国本土と英国不動産
スプリングリートは元々中国本土の不動産に投資することを目的に組成されたファンドですが、いまは中国本土に加えて英国の不動産も含まれています。
ただ、投資不動産の殆どは中国本土不動産であることは認識しておきましょう。
2018年度の年次報告書によると、保有不動産の評価額でじた場合
- 中国本土:USD 1,322M (93%)
- 英国:USD 97M (7%)
- 合計:USD 1,419M
と93%が中国本土不動産で占めています。
このため、スプリングリートは以下の要素に影響されます。
- 中国本土の不動産価格
- 中国元と米国ドルの為替レート
投資対象は中国の北京周辺のハイグレードオフィスビルで、2018年の占有率は95.8%と高い稼働率を維持しています。
スプリングリートの配当利回りは何%か
気になる配当利回りは何%でしょうか?
スプリングリートは半期配当のリートですので、六ヶ月ごとに分配金が支払われます。
一年間の分配金は、
- 2018年度:0.192HKD
- 2017年度:0.211HKD
- 2016年度:0.23HKD
となっています。
一株あたりの分配金は若干下がり気味ですが、安定している印象です。
2018年度の分配金が継続すると仮定すると、現在の株価3.53HKDから配当利回りは5.4%です。
仮に2019年度の分配金が0.173HKDになってしまうと仮定しても、配当利回りは4.9%ですので悪くはないと思います。
もっとも、Jリートで時価総額640億円前後の銘柄だとOneリートが利回り5%、森トラスト・ホテル・リートが利回り4.5%なので、スプリングリートの利回りがそれらと比べて際立って高いわけではないことは認識しておきましょう。
スプリングリートに投資する意味
スプリングリートに投資する意味は、高い利回りの実現ではありません。
年間5%を超える配当利回りを実現したいなら、わざわざ香港リートを選ぶのではなくJリートの中でも時価総額1,000億円以下の小型リートに投資すれば良いわけです。
スプリングリートに投資する意味は、投資対象の分散によるリスク分散です。
Jリートの場合は良くも悪くも日本の不動産だけに投資します。
Jリートを通じて海外不動産に投資することは今のところできません。
配当金生活をする場合、日本の不動産だけに集中投資するのはリスクが高いでしょう。
例えば、大地震が起こってJリート保有の不動産に大ダメージが合った場合や日本経済が大きく低迷してしまう場合は、Jリートの収入も減り分配金も減ってしまうリスクがあります。
安定した分配金を求めるのであれば、リートの投資でも投資対象を地理的に分散させておくことはとても大事です。
スプリングリートに投資することで、中国本土不動産に間接的に投資できます。
スプリングリートは時価総額が1,000億円以下と小さいのでメインの投資対象にするには難しいのですが、Jリートポートフォリオの一部に加えることでリスク分散効果を得ることができますよ。
スプリングリートは配当利回りも5%前後と悪くないので、Jリートの大型銘柄中心に投資している場合は配当利回りの引き上げ効果もありますね。
まとめ
今回は日本の大手ネット証券で投資可能な香港リート・スプリングリートの配当利回りと投資する意義について紹介しました。
本当は日本からでもシンガポールリートに容易に投資できればそちらのほうが良いとは思います。
残念ながら、日本居住者がシンガポールリートに投資する方法がありません。
次善の策として、リートポートフォリオの地理的な分散のためにスプリングリートへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。
スプリングリートに投資することで中国本土不動産(北京のオフィス)への投資ができますし、分配金利回りも5%前後と悪くはありませんよ。
あなたの配当金ポートフォリオの安全性をより高めるためにスプリングリートを検討してみましょう。
なお、大手ネット証券で投資できる香港リート銘柄はスプリングリートだけですが、日本からでも容易にその他の香港リートに投資する方法はありますので、後日紹介します。