RPA(業務自動化)という言葉がよく使われるようになっています。
実際に仕事において「自動化して効率化しましょう」と私もよくいいます。
よく考えると、大げさではなく毎日この業務はどうやったら自動化できるかと話してますね。
工場の生産現場だけでなく、オフィスでも無駄をなくしていく流れです。
自動化して効率化すれば今までより少人数で正確な業務ができますので、投資家にとっては利益が上がるし残った従業員はより付加価値の高い業務をできるので給与が上がります。
そして、投資家としては
という気がします。
大きな投資機会だと思いませんか?
もう人間に業務を任せる時代じゃないですよ。
今回はそんな業務自動化関連の銘柄を紹介していきます。
- 対象:中長期的な投資のネタを探している投資家
- 得られること:業務自動化分野の中核銘柄リストがわかります。
目次
Omnicel:ヘルスケア施設の業務自動化ソリューション
Omnicel (OMCL)は米国のヘルスケア施設向けの業務自動化ソリューションを提供する会社です。
"The Autonomous Pharmacy"(自動で薬の捕違いミスゼロの薬局)を実現することを目指しています。
この会社が目指しているのは、ヘルスケア業務の自動化だけでなく、ゼロエラーつまり医療業務上のミスを完全になくすことです。
私自身は医療業務に従事しているわけではないですが、医療業務が日々高度化している中で、医者だけでなくヘルスケア施設で働いている全ての人々の業務が増加し増えているでしょう。
法律も厳しくなっているでしょうから、コンプライアンス関連の業務は通常のオフィス業務の日ではなく増えているでしょう。
取り扱っている医薬品は日々新しいものが出てきて、種類も増えているでしょう。
医療業務でミスが発生すると患者に直接的な悪影響があるのでミスは許されないとなると、医療従事者の業務負担は非常に増えます。
このような中で、Omnicelはヘルスケア施設向けの自動化ソリューションを提供ています。
以下のYoutubeビデオがわかりやすいのでぜひ見てください。
日本には進出していませんが、Omnicelは国際展開もしています。
今のところオフィスは、米国、中国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スロベニア、UAE、イギリスにあります。
数字をざっくり見ると、
- 時価総額:USD 3.80B(約4000億円)
- 売上:年900億円〜1000億円
- 売上高成長率:年10%前後
- 粗利益率:45%-47%程度
- 現金同等物がUSD 77M(約80億円)
- 営業キャッシュフローは黒字
です。
現金がじゃぶじゃぶある会社ではないことには留意してください。
もちろん、財務運営上支障があるようには見えないので、心配することはありません。
株価は直近1年で二倍になっていますが、ヘルスケア施設向けの自動化というのは中長期に渡って続くテーマだと思いますので、中長期の投資に向いているのではないかと考えています。
Anaplan:将来計画のためのデータ集計・分析自動化
いままで事業計画は経験、勘、気合に基づいて作られてきました。
いつの時代でも気合は必要ですが、経験と勘で事業計画を作っている部分はデータに置き換えられるべきです。
ビッグデータが叫ばれる時代です。
ビッグデータと言わずとも、どんな企業でも分析に使えるデータはいろいろなところにたくさんあります。
ある企業Aはデータをきちんと分析して戦略を立てすばやく実行したとしましょう。
別の企業Bはデータ集計に時間がかかり、古いデータを元に、見当違いの戦略を立てて実行していたとしたら、企業AとBの事業成長は大きく差がつくはずです。
Googleやマイクロソフトの例は極端かもしれませんが、今伸びていてこれからも伸びる企業はきちんとしたデータを元に小さいものから大きなものまで事業計画を立てています。
SalesforceがTableauを1兆7000億円で買収したりしていますが、「多くあるデータをどうやって人が有効な意思決定をできるようにすばやく集計し分析していくか」、という点は今後非常に重要な投資ポイントになります。
私自身も業務でTableauのレポートを元にいろいろなプランニングをしているので、データ分析の重要性はよくわかります。
ただ、データ集計に時間がかかるんですよね。
Anaplanは様々なシステムと連携し、データ集計を自動化し、レポーティングを出すツールです。
数字をざっくり見ると、
- 時価総額:USD 6.57B(約7000億円)
- 売上:年350億円前後
- 売上高成長率:年35-45%前後
- 粗利益率:70%程度
- 現金同等物がUSD 332M(約350億円)
- 営業キャッシュフローは赤字ですが、赤字幅は大きく縮小中
です。
Anaplanも株価が直近で二倍になっていますが、Tableauが1兆7000億円で買収されたことと比較するとまだ半分以下の時価総額でしかありませんよ。
Blackline:クラウド型経理財務業務自動化サービス
Blacklineはクラウド型経理財務業務自動化サービスを提供しています。
複数のグループ会社を抱える企業の連結会計業務を自動化、エラーの自動検知、プロセスの可視化、コンプライアンス強化を提供します。
一つの国の一つの企業だけの場合は会計ソフトだけで決算が完了しますが、複数のグループ企業を持ったり、海外子会社を持っている場合連結決算をする必要があります。
様々な事情で全ての子会社が同じ会計システムを使っていない場合がありますよね。
例えば、
- 設立間もない小規模な子会社の決算で本社と同じERPを導入するほどコストが掛けられない場合
- 買収によってグループに入ってきたが、別のシステムを使っていた場合
こういった場合に複数の違ったシステム、あるいはエクセルを一つの連結パッケージにまとめる必要があります。
子会社によって会計ルールが微妙に異なったりする場合、会計項目の調整なども必要で、連結決算はかなりマニュアルの労力がかかる部分です。
この状況に対し、Blacklineを導入することで自動化、エラーの自動検知、プロセスの可視化を実現します。
さらに、特に最近海外子会社での不祥事が多くあり、海外子会社管理をきちんと行うことは企業にとって非常に重要な課題となっています。
内部監査部門が海外出張して現地の会計書類を監査するというのもやるとして、Blacklineのようなクラウドシステムを使えばリアルタイムで監査に必要なデータも取り出すことができ、海外子会社管理の強化、コンプライアンスの強化を実現することができます。
オフィスは、米国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、オランダ、シンガポール、南アフリカ、イギリスと世界中の主要な国に拠点を持っていて、国際展開にも積極的です。
数字をざっくり見ると、
- 時価総額:USD 3B(約3,300億円)
- 売上:年250億円前後
- 売上高成長率:年25%-30%前後
- 粗利益率:77%程度
- 現金同等物が有価証券を含めてUSD 132M(約140億円)
- 営業キャッシュフローは黒字
です。
私の直感でしか無いですが、この会社悪くないと思います。
競合はWorkivaでしょう。
ちなみに、2019年度第1四半期の数字でWorkivaとBlacklineを比べると以下のようになります。
売上高
- Blackline: USD 64M (YoY +28%)
- Workiva: USD 69M (YoY +16%)
粗利益率
- Blackline: 78%
- Workiva: 72%
売上高経費率
- Blackline: 92%
- Workiva: 82%
営業キャッシュフロー
- Blackline: USD 3M
- Workiva: USd 5M
有価証券含めた現金同等物
- Blackline: USD 134M
- Workiva: USD 113M
時価総額
- Blackline: USD 3.01B
- Workiva: USD 2.55B
と両者似たような感じです。
私であれば、粗利益率が高く、売上成長率が高く、現金同等物の金額も大きいBlacklineに投資しますが、Workivaも盛り返してくると思うので両者に投資してもいいと思いますよ。
ServiceNow:社内デジタルワークフローのプラットフォーム
ServiceNowは企業向けに社内デジタルワークフローのプラットフォームをクラウドベースで提供している会社です。
従来はIT管理の自動化プラットフォームという位置づけが強かったServiceNowですが、いまでは
- ITワークフロー
- 従業員向けのHRワークフロー
- カスタマーサービスワークフロー
の3つをメインのサービスとしています。
数字をざっくり見ると、
- 時価総額:USD 54B(約5兆8000億円)
- 売上:年3,500億円前後
- 売上高成長率:年34前後
- 粗利益率:76%程度
- 現金同等物が有価証券を含めてUSD 1.6B(約1,800億円)
- 営業キャッシュフローは四半期でUSD 360Mの黒字
です。
プロフェッショナルサービスを含めても粗利益率76%の非常に高い利益率で、年間売上3,500億円の規模ながら年間成長率34%という驚異の高成長を遂げている会社です。
ServiceNowはデジタルワークフローの会社ですので、直接的な競合はJiraのAtlassianですね。
デジタルワークフローがいいところは、ほぼすべての業務の会社や政府機関にビジネス機会があることです。
きちんとワークフローに乗せておかないと、
- 承認のメールを送ったか忘れる
- 承認履歴のメールがどこかに行ってしまう
- 上司によって承認のやり方が違う
- 内部監査が承認履歴を確認しようとしても履歴が探せない
等問題が起こります。
従業員が数人の会社であればメールでもいいですが、従業員の数が多くなってきたり、あるいは複数のグループ会社で共同でビジネスを行うような場合はデジタルのワークフローは必須です。
まだまだレガシーのやり方をとっている企業はたくさんありますから、ServiceNowも当面は高成長を続けるのではないでしょうか。
まとめ
今回は業務自動化という視点で米国株を紹介しました。
私は中長期的に世界最大の市場かつイノベーションの源である米国株への投資が良いと考えているので、米国株の業務自動化関連株を紹介しました。
いずれも株価は大きく上がっていますが、ひるんでいてはいつまでも投資できません。
気合を入れて中長期の投資テーマとしてRPA(業務自動化)に取り組んでみましょう。
私もコツコツを投資していく予定です!