よく海外不動産投資の広告を見ますが、あなたは海外不動産投資をやるべきだと思いますか?
海外不動産投資は、
- 高利回り
- 中長期的には不動産価格は上がるかもしれない
- 日本に資産を集中するリスクを回避する
という点で魅力的な投資です。
私も検討したことはあったのですが、検討の結果私は海外不動産投資はやらないことにしました。
私は海外に5年以上居住経験があり、海外の高級コンドミニアム数件に住んでいたこともあります。
海外金融機関を長年使っていて海外投資には不安はありませんし英語もできます。
今回は、そんな私がなぜ海外不動産投資をやらないことにしたのかを説明します。
海外不動産投資を検討しているあなたの参考にしてください。
- 対象:高利回りを求め海外不動産投資を検討している投資家
- 得られること:海外不動産投資に対する否定的な見方がわかります。
目次
私の海外居住経験から感じた海外不動産の問題点
私はシンガポールに5年住んでいました。
シンガポールには
- コンドミニアム
- 公共住宅(HDB)
- 一軒家(超高級住宅)
の3つがありますが、通常外国人はコンドミニアムを借ります。
コンドミニアムというのは、日本でいうタワマンです。
私自身もコンドミニアムに住んでいました。
シンガポールのコンドミニアムに住んでいた人なら経験すると思いますが、建物の作りが雑で質が低いです。
建物の見た目はすばらしくいいのですが、建物の中身の質が低いです。
水回りのトラブルは結構ありましたね。
シンガポールのコンドミニアムのトラブル事例は、以下を参照してください。
シンガポール住居のよくあるトラブル集【シンガポール住居の特徴】
私の住んでいた物件を買おうとすると、今でも日本円で軽く1億円は超えますが実際問題トラブルは多かったです。
日本は新築が良いと言われますが、シンガポールの新築だとトラブルが多すぎるので、一旦誰かが住んで修繕してから住むのが良いと言われていました。
そう言われるくらいシンガポールですら日本に比べると建物の品質が劣ります。
シンガポールはそれなりにきちんと建築規制があり行政がしっかりしている国ですが、それでも日本に比べると建物の質が数段劣ると感じました。
数年住む分には悪くはないですが、住んでいるときには
と感じました。
シンガポールでは数回引っ越ししましたが住んだコンドミニアムは全て同じような質でしたので、現地の感覚からするとそんなものなのでしょう。
日本だって不良建築は多くありますけど、海外での建築は日本の建築よりも質が劣る可能性があります。
日本に住んでいる投資家が、海外の建物の質をきちんと精査できるでしょうか?
私が海外コンドミニアムに居住した経験から考えると、海外不動産は高級コンドミニアムであっても建物の質が悪く中長期の投資には耐えない懸念があります。
海外不動産できちんとした品質の物件を選ぶ能力が私にはないので、投資しません。
勇気ある投資家が海外不動産に投資するのは止めはしませんが、せめて数年に渡って数件を賃貸で実際に住んでみて、どんなものかを経験してから投資することをオススメします。
投資するものがどんなものなのかを肌感覚でわからないまま巨額の資金を投じるのは、客観的に見てリスクが高すぎると感じます。
海外不動産投資特有の懸念点
海外不動産の建物の品質を担保できないというリスク以外にも以下3つの懸念点があります。
- 現地の税金の仕組みをきちんと理解し、自分で対応できるか
- 物件を売却した資金を満額日本に海外送金できるか
- 高利回りの魅力的な不動産が海外投資家に回ってくることにそもそも疑問がある
現地の税金の仕組みをきちんと理解し、自分で対応できるか
日本でもそうですが、通常不動産に関する税制は株式や債券などに比べて複雑です。
不動産の売却益に税金がかからない国もあると思いますが、税金がかかる国もあるでしょう。
固定資産税がある国もあります。
私自身は不動産投資家ではないので、日本の不動産税制ですらよく理解できません。
私の能力では海外の不動産税制なんてきちんと理解できるとは思いませんし、きちんと申告ができるかもわかりません。
調べればなんとかなりそうな気もしますが、不動産に投資する際にその国の不動産税制をキチンと理解していないと後々で不要なトラブルに巻き込まれる可能性はあります。
物件を売却した資金を満額日本に海外送金できるか
海外不動産を持っていれば後々売却する機会は出てくるでしょう。
この時、売却した資金を満額日本に海外送金できますか?
日本やシンガポールでは海外送金には基本的に規制はかかっておらず、海外送金したい分だけ自由に送金できます。
ただ、国によってはその国の通貨で海外送金できない国もありますし、外貨に換えて海外送金するにしても外貨の海外送金規制がある国もあります。
海外送金の許可を得る手続きが複雑な国もあるでしょう。
個人の海外送金は高額にはならないので各国が大きく規制をかける必要性があるとは思えませんが、国はいつでも海外送金を規制できることは認識しておきましょう。
海外不動産を売却したは良いけど、売却代金を日本に送れないリスクがある国もあることを認識しておきましょう。
高利回りの魅力的な不動産が海外投資家に回ってくることにそもそも疑問がある
私が海外不動産投資に懐疑的な最後の理由は、
という疑問があるからです。
日本で考えてみましょう。
日本で超好立地の建物の品質が高く利回りが高い物件があったしたら、まずは日本の大金持ちの不動産投資家が情報を得て買ってしまいますよね。
個人投資家においしい物件はなかなか回ってきません。
海外投資家は日本の湾岸のタワマンを買っていると言われていますが、あんなの全くおいしい投資対象だと思わないので私なら絶対買いません。
海外にも熟練の不動産投資家はおり、多くの場合大金持ちで密接な情報ネットワークを持っています。
当然海外不動産でもおいしい物件は現地の大金持ちの不動産投資家が全部買い占めてしまいます。
なぜおいしい物件を営業コストを掛けてまで海外投資家に売る必要があるのでしょうか?
海外不動産でも高利回りの建物の品質が高く好立地の物件は、現地投資家がまず買い占めてしまうと考えるのが普通です。
海外投資家に回ってくるのは、残りモノの可能性が高いとは思わないのでしょうか。
もちろん、中にはすごく良い物件が売れ残って海外投資家に回ってくる場合もあるでしょうが、それは大不況で現地不動産投資家が大ダメージを食らっているような非常に例外的な状況です。
私の観点では、海外不動産投資で良い物件を現地の大金持ちの不動産投資家に先んじて買えるとはとても思えません。
良い物件を買える確率が低いと想定されるので、私は海外不動産を買いません。
まとめ
私が海外不動産投資をやらない理由について説明してきました。
まとめると、私が海外不動産投資をやらない理由は以下です。
- 投資先の建物の品質が悪い可能性があり、また不動産所在地の物理的な距離が遠いので建物の品質をきちんと精査するのが難しい。
- 現地の不動産税制を理解するのが大変で、きちんと税金の申告ができるかどうか自信がない。
- 海外不動産の売却代金をトラブル無く日本に満額送金できるかわからない。
- 海外不動産において、良い物件が現地の大金持ちを差し引いてなぜ私に回ってくるのかが理解できない。
高い利回りを求めるなら海外不動産投資などやらずとも、もっと流動性が高く、税制のリスクも低く、代金回収のリスクもなく、物件の品質リスクも負わない投資がいくらでもあります。
具体的には、高利回りETF、シンガポールリート、Jリートなどです。
海外不動産投資をやることは止めませんが、上記で上げた懸念点に対してエージェントに頼ること無く自力で現地の弁護士や専門家などを使って自力で解決できるようにしてから投資を実行することをオススメします。
それくらいできればトラブルがあってもなんとかなるでしょう。
ただ、投資家としての私の感覚では、海外投資は労力に見合ったリターンがあるかなと疑問でなりません。
あなたもきちんと自分の能力と海外不動産投資のリスクを見極めた上で投資を検討してみてください。