人工知能(AI)が社会で積極的に使われるようになってきました。
ただ、ビジネスを見ているとまだまだ自動化や電子化が進んでいない領域も残っています。
その一つが契約書です。
あなたの会社でも契約書を作るときはまだマニュアルの手続きを踏んでいるのではないでしょうか?
基本的な方向性として、現在マニュアルで行っている業務はAI による自動化が進んでいきます。
法務領域も例外ではなく、リーガルテックという法務領域でテクノロジーを使って劇的にビジネスプロセスを変えることに対して様々ん企業が取り組んでいます。
契約行為は日常的に非常に広範囲に行われている社会の基盤ですので、これが劇的に変わることは社会的にもリーガルテックに関わる企業にも大きな影響があります。
そして、ここには投資で大きく儲けるチャンスがあります。
今回はリーガルテックへの投資で大きく儲けるために、関連銘柄を紹介します。
現在の紙ベースの契約書は高コストで時代遅れ
一般的に契約書を締結する際は、
- 契約書の原案を作り
- 自社及び相手側の法務のマニュアルのレビューをし
- 契約書を紙に二部印刷し
- 社内稟議なり社内の押印プロセスに回し承認を得て
- 会社の印鑑なり代表者の署名をし
- 手渡しないし郵送で原本を二部相手方に送り
- 相手方も社内稟議なり社内の押印プロセスで判子か署名をもらって
- また手渡しないし郵送で原本を一部戻してもらい
- 紙の原本を保管する
というプロセスです。
かかってくるコストは、
- 法務のマニュアルチェック
- 社内稟議を得る工数
- 紙の印刷代
- 原本の郵送費
- 紙の原本の保管費
- 契約締結一連に関してフォローアップする労務工数
- 契約締結までに相手方とビジネスを始められないことによる機会損失
です。
契約書をデジタル化しAIで内容をチェックするような仕組みにすれば、上記の工数や機会損失を大幅に削減することができ、企業にとっても社会にとっても大きなメリットがあります。
現在の紙ベースの契約の締結の仕組みは、完全に時代遅れなのです。
リーガルテック関連企業は、これら契約の仕組みを自動化、電子化し、劇的に企業の業務効率を上げることを目指しています。
現在のリーガルテックのフロントランナーとしては、
- 弁護士ドットコム
- DocuSign(米)
の2社です。
以下で各社のリーガルテックへの取り組みを見ていきましょう。
弁護士ドットコムは日本でのリーガルテックの本命
弁護士ドットコムは、その名の通り弁護士ドットコムという法律関係のウェブサイトを運営している会社です。
弁護士ドットコムはウェブサイトの運営だけでなく、2015年10月からクラウドサインという電子契約サービスを提供しており、これがリーガルテックの本命たる所以です。
年間売上高が30億円ちょっとしかなく、営業利益が5億円のみ、そして営業利益はここ3年横ばいというこの弁護士ドットコムが、時価総額1,000億円もあるのですから、世間の期待が大きいことがわかります。
私自身弁護士ドットコムの株主総会に参加しましたが、株主の質問はクラウドサインに集中していました。
電子契約サービスを提供している会社はクラウドサイン(弁護士ドットコム)以外にも幾つかある中で、弁護士ドットコムこそが本命であると言い切れますが、その理由は以下です。
- 創業者が弁護士でクラウドサインの事業責任者も弁護士なので、日本の法律の要件を十分に理解した上で事業を行っている。
- 電子契約は信頼性が非常に重要だが、創業者が弁護士(かつ現役の参議委員議員)、電子契約事業の事業責任者が弁護士というのは、他社には無い圧倒的な信頼性がある。
- 弁護士ドットコムの事業運営を通じて、弁護士コミュニティと強力な連携関係がある。
- すでに電子契約サービスで日本国内シェア80%を越えており、ほぼ河川的なシェアを確立済み。
クラウドサインの事業自体はまだ赤字ですが今年度は前年比で売上を三倍にすると公言していますし、来年には損益分岐点に近づくといっています。
クラウドサインが赤字の段階でこの株価ですから、もしクラウドサインが黒字転換したらどうなるんだろうとワクワクします。
電子契約というのは「契約を電子的に締結してコスト削減ができる」だけにとどまらず、電子化された契約書のレビューもAIを使って自動的に行うことができるようになる可能性を含んでいます。
契約を電子化することにより、定型的なリスクの低い契約書のレビューはAIに任せ、弁護士はもっと戦略的な契約締結サポートに知力を使う時代がもうすぐ来ますよ。
DocuSignはグローバルで見たリーガルテックの本命
日本での電子契約サービスの圧倒的No.1は弁護士ドットコムでしたが、グローバルで見るとDocuSignが強いです。
弁護士ドットコムとDocuSignを比較すると、
時価総額
- 弁護士ドットコム:1,100億円
- DocuSign:9,500億円
売上高
- 弁護士ドットコム:31億円
- DocuSign:990億円
現金同等物
- 弁護士ドットコム:14億円
- DocuSign:810億円
とDocuSignのほうが圧倒的に大きな会社です。
DocuSignはクラウドサインよりも圧倒的に大きな規模のビジネスですので、電子契約サービス以外にも
- 電子署名
- 電子契約の管理ツール SpringCM
- 不動産業界に特化したデジタル契約サービス
等クラウドサインにはない機能が多くあります。
ドキュサインには日本法人もありますが、電子署名にフォーカスしているようです。
DocuSignは巨人ですが、マネジメントチームに日本の弁護士がいて日本の法律環境に適合した電子契約サービスを提供する弁護士ドットコムには日本では勝てないかもしれません。
ただ、弁護士ドットコムはグローバルではほとんど存在感はありませんので、リーガルテックに投資をするならDocuSign と 弁護士ドットコムの両方に投資するのが良いと私は考えます。
まとめ
契約書は未だに紙ベースで締結することが多く、時代遅れだと感じています。
そして、この前投資先の弁護士ドットコムの株主総会に参加し、クラウドサインの大きな成長可能性を感じるとともに、契約の電子化が大きく世界を変えていくんだろうという期待が持てました。
全ても商取引は署名であるかは別として契約に基づいています。
その契約のあり方が変わるということは、あらゆる商取引のあり方が変わっていく可能性がある、ということです。
今回は日米それぞれのリーガルテックの大本命企業である弁護士ドットコムとDocuSignを紹介しましたが、様々な会社がこの市場を狙っていきます。
リーガルテックは
- 電子契約サービス
- 契約の自動化
- 電子署名
- 人工知能による契約レビュー
等様々なビジネスの可能性がある非常に面白い投資領域ですので、あなたもぜひリーガルテック企業への投資を考えてみてください。