JR東海の収益力がものすごく高いことを紹介しましたが、実は日本にはJR東海を上回る営業利益率58%という信じがたい利益率の会社が存在します。それが日本取引所グループです。
今回は投資先としての日本取引所グループ株の魅力をまとめて紹介します。
日本取引所グループとは?
日本取引所グループとは東京証券取引所と大阪取引所、日本証券クリアリング機構の持ち株会社です。日本の現物市場・デリバティブでの取引機能、上場証券取引清算機能、決済機能を最初から最後まで統合的に提供している会社です。
収益源は
- 取引関連収益
- 清算関連収益
- 上場関連収益
- 情報関連収益
- その他収益
です。現物やデリバティブの取引高が大きくなれば取引関連収益と生産関連収益が上がりますし、上場企業が多くなれば上場関連収益が上がります。
上場については新規上場が多くなればなるほど収益が上がります。個人的には携帯事業会社ソフトバンクの親子上場を認めるなど取引所としての姿勢を疑う判断が多い気はしますが、収益という点ではそれもプラスです。
日本取引所グループの営業実績
日本取引所グループの営業実績ですが、最新の2018年4月~9月の半期決算によると
売上高 592億円
営業利益 343億円
税引き前利益 350億円
となり売上高対営業利益率は58%でした。業種は違いますがヤフーの最も利益率の高い事業であるメディア事業の営業利益率が49%だったことを考えると、日本取引所グループの利益率の高さがわかると思います。
この利益率が一時的であればあまり評価できませんが、日本取引所グループは2013年度からずtっと高い営業利益率を維持しています。最低でも営業利益率47%ですよ!
2017年度:営業利益率59%
2016年度:営業利益率55%
2015年度:営業利益率58%
2014年度:営業利益率50%
2013年度:営業利益率47%
日本取引所グループは証券取引所ですから、株式などの売買高が膨らめば膨らむほど利益が出ます。株価が下がろうがあがろうが収益をあげることができます。コスト構造は比較的固定的な部分が多く不動産と取引所システムのITインフラがメインですね。収益が上がれば上がるほど利益は伸びる構造です。
日本取引所グループは東京証券取引所と大阪取引所を傘下に持つ企業で、日本株の取引という観点で競合はいません。私設取引所は競合といえば競合ですが、今のところ日本株のメインの取引所とはなっていないので実質的に競合がない状況です。
具体的な有価証券・デリバティブ取引の日本取引所の世界シェアはIR資料で公表されていますが、
- 現物株式取引:90%
- 日経225先物:70%
と圧倒的なことがわかります。
現物株式取引ではほぼ独占状態ですが、日経225先物取引においてはCMEやシンガポール取引所がそれなりのシェアを持っていることには注意が必要です。
日本取引所グループの株主還元
JR東海の株主還元はしょぼかったですが、日本取引所は比較的厚い株主還元があります。これも日本取引所株の魅力の一つです。
配当性向は利益の60%とし、直近の4年間の年間配当は(記念配当を除き)だいたい年間50円。2018年12月26日の株価が1730円ですので、配当利回りはだいたい2.9%くらいです。それなりに高いですし、極めて高い営業利益率の会社で、この独占状態が近い将来に失われることもないでしょうから、安定した配当を受け取ることができそうです。
配当のほかに100株以上保有の株主にQUOカード 1000円分を配布しています。QUOカードは保有年数が増えることに年1000円分づつ増え、3年以上保有すると年4000円分のQUOカードがもらえます。
100株保有するには173,000円ですから、もし3年保有しQUOカード4000円分もらえたとするとそれだけで2.3%の利回りです。通常の配当利回り2.9%ですのでQUOカードと合わせると配当利回りが5.2%です(ただし、100株のみ保有した場合)。
まとめ
日本取引所グループは直近の決算で営業利益率58%という驚異的な利益率の企業です。営業利益率は取引高によって変動しますが、過去実績でいうと営業利益率は最低でも47%と低いとはいっても通常の企業に比べれば極めて高い水準です。
日経225先物は多少競合はいますが、アジア最大の日本株の証券取引所機能をほぼ独占的に提供していることから、盤石の収益力があるのが強みです。
また、配当利回りも3%弱と高く、株主優待でQUOカードがもらえるのも地味な魅力ですね。
株式市場が大混乱しているときは、取引高が膨らみ実は取引所には収益のチャンスだったりします。株式市場が大混乱しているときは、自分自身を含め個人投資家が大損していたりもします。そんな時、日本取引所グループは大儲けしているはずなので、ポートフォリオの中に入れておけば損失を軽減させる効果があるかもしれません。
金融や証券といった株は相場に大きく左右されるものですが、取引所の売上自体は比較的安定しているように見えますので、金融株への投資を検討されている方がいたら選択肢の一つかもしれません。