配当金を目的として投資している人は多いと思いますが、配当性向は気にしていますか?
私は2018年に配当金狙いで高配当株を保有していていたところ、業績下方修正および配当金カットによって株価大暴落を直撃しました。
その経験から、配当金狙いで株式投資をするときであっても配当性向を注意する必要があることを学びました。
配当性向が低いというのは株主還元が低いことなので良いことではないのですが、逆に高すぎると業績が下方にぶれたときに配当金カットになりやすいリスクがあります。
企業が配当金を払うの原資は利益ですから、利益が落ちていけば配当は維持できないのは当然のことです。
本記事では、配当金投資家の投資判断材料の一つとして各企業の配当性向はいったいどれくらいなのか、をまとめて紹介します。
配当金投資の考え方と配当性向の計算方法
配当金投資の基本的な考え方
高配当株を選ぶときの基本的な考え方ですが、配当利回りが高い銘柄同士を比較し、どちらに投資すべきかの判断をする場合、
- 業績の安定性が高いほうが良い
- 同じ配当利回りなら、配当性向が低いほうが安全性が高く良い
という判断になります。
業績が安定していない場合、仮にいま配当利回りが高くてもそれを継続できるかわかりません。
配当性向が高すぎる場合は、仮に利益が減った場合高配当を維持できない可能性があります。
配当性向が高すぎるというのは、すでに無理して配当を支払っているという証でもあります。
配当金投資の判断をする際に、配当性向はポートフォリオの安全性を評価するうえでとても重要な指標ということです。
配当性向の計算方法
今回東証上場の中堅~大型株の中での「配当性向が低い銘柄ランキング」を自力で作ってみました。
情報源は企業発表の短信とホームページです。
「発表日」とあるのは業績発表日で、数字を検証したい場合は企業の短信と見比べてください。
配当性向の計算式は以下を使っています。
なお、発行済株式にはストックオプションなどの潜在株は含まれていないものと理解しています。
配当性向の低い銘柄ランキング
2020年2月15日時点での配当性向ランキングは以下でした。
銘柄 | 配当利回り | 配当性向 | 発表日 |
---|---|---|---|
住友不動産 | 0.83% | 12% | 2020/02/13 |
共立メンテナンス | 1.05% | 18% | 2020/02/07 |
オリエンタルランド | 0.30% | 19% | 2020/01/30 |
良品計画 | 1.00% | 19% | 2020/01/10 |
サンフロンティア不動産 | 3.24% | 20% | 2020/02/06 |
レーサム | 4.46% | 22% | 2020/02/14 |
三井不動産 | 1.50% | 22% | 2020/02/07 |
中部電力 | 3.29% | 23% | 2020/01/31 |
鉄建建設 | 2.94% | 23% | 2019/05/14 |
JR東日本 | 1.75% | 23% | 2020/01/30 |
伊藤忠商事 | 3.25% | 25% | 2020/02/05 |
丸紅 | 4.43% | 25% | 2019/05/09 |
五洋建設 | 2.95% | 29% | 2019/05/10 |
鹿島 | 3.80% | 29% | 2019/05/15 |
東急不動産HD | 2.05% | 30% | 2019/11/08 |
安藤ハザマ | 3.41% | 30% | 2019/11/11 |
NTTドコモ | 1.77% | 30% | 2019/04/27 |
澁澤倉庫 | 2.37% | 30% | 2019/05/10 |
東鉄工業 | 2.46% | 31% | 2020/02/07 |
三菱地所 | 1.46% | 31% | 2020/02/10 |
JR西日本 | 2.10% | 31% | 2019/04/26 |
三井物産 | 4.12% | 31% | 2019/10/30 |
西松建設 | 4.02% | 32% | 2019/05/10 |
住友商事 | 4.75% | 33% | 2019/11/01 |
野村不動産HD | 2.85% | 33% | 2019/04/25 |
関西電力 | 3.95% | 34% | 2019/10/28 |
上組 | 1.91% | 34% | 2019/02/08 |
トヨタ自動車 | 2.8% | 34% | 2019/11/07 |
帝人 | 2.99% | 34% | 2020/02/05 |
ダイビル | 1.34% | 34% | 2019/01/31 |
旭化成 | 3.42% | 34% | 2019/05/10 |
日本ガイシ | 2.63% | 35% | 2019/04/26 |
JR九州 | 2.56% | 35% | 2019/11/05 |
東京精密 | 1.88% | 35% | 2019/05/14 |
AGC | 3.43% | 36% | 2019/05/08 |
東京ガス | 2.51% | 36% | 2019/10/30 |
マニー | 2.10% | 36% | 2019/04/05 |
不動テトラ | 2.98% | 36% | 2019/11/08 |
村田製作所 | 1.45% | 37% | 2019/04/26 |
ニプロ | 0.54% | 38% | 2019/05/09 |
大阪ガス | 2.64% | 38% | 2019/04/24 |
三菱商事 | 4.60% | 39% | 2020/02/05 |
ナカニシ | 1.54% | 39% | 2019/05/10 |
セブン&アイ | 2.21% | 40% | 2019/04/04 |
イオンフィナンシャルサービス | 3.77% | 40% | 2019/05/10 |
沖縄セルラー | 3.17% | 40% | 2019/10/25 |
ブリジストン | 4.11% | 41% | 2019/11/08 |
沖縄電力 | 2.93% | 41% | 2019/10/31 |
ショーボンド | 2.86% | 44% | 2019/11/08 |
花王 | 1.60% | 44% | 2020/02/04 |
アマノ | 2.10% | 45% | 2019/04/24 |
セコム | 1.74% | 45% | 2020/02/06 |
KDDI | 3.21% | 45% | 2019/05/15 |
フジテック | 2.44% | 46% | 2019/02/07 |
三菱ケミカル | 5.02% | 46% | 2019/11/01 |
三菱ガス化学 | 3.79% | 48% | 2019/05/13 |
TOTO | 1.88% | 48% | 2019/04/26 |
東京エレクトロン | 3.20% | 50% | 2019/04/25 |
グンゼ | 2.35% | 52% | 2019/02/05 |
三菱重工 | 3.36% | 55% | 2019/2/6 |
シチズン時計 | 5.07% | 55% | 2019/05/13 |
九州電力 | 4.05% | 55% | 2019/10/31 |
日東電工 | 3.28% | 56% | 2019/04/26 |
Zホールディングス | 2.0% | 58% | 2019/11/01 |
日本取引所 | 2.39% | 61% | 2019/10/30 |
マブチモーター | 3.27% | 63% | 2019/04/26 |
SUBARU | 5.04% | 68% | 2020/02/05 |
住友倉庫 | 1.87% | 71% | 2019/02/07 |
住友化学 | 4.85% | 72% | 2020/01/31 |
パーク24 | 2.49% | 85% | 2019/05/30 |
日本たばこ産業 | 6.76% | 90% | 2020/02/06 |
キャノン | 5.65% | 107% | 2020/01/29 |
イオン | 1.56% | 126% | 2019/04/10 |
ポーラ・オルビス | 4.90% | 148% | 2019/10/30 |
日産自動車 | 7.79% | 153% | 2019/11/12 |
三井海洋開発 | 2.17% | #DIV/0! | 2019/11/01 |
注意してもらいたいのは、この数字はあくまで単年の数字で企業の業績予想に基づき、かつ企業ホームページに私の確認時点で掲載されていたの発行済み株式数に基づいているということです。
発行済み株式数、当期純利益予想、一株当たり配当といったパラメーターが変われば、配当利回りは変化していきます。
まとめ
日本株の配当性向について低い順でリスト形式でまとめてみました。
配当性向については、配当性向が低い銘柄の多くは配当利回りが低いですが、なかには配当性向が20%台であっても配当利回りが高いものもありました。
私は成長株については配当はせず利益はさらなる事業成長のために投資したほうがいいと思っている人ですが、逆に言うと急激な事業成長が見込めない状況であればきちんと配当というたちで株主還元はやってもらいたいですとも思っています。
但し、当期利益のほとんどを配当に回すような配当性向が高すぎる会社もバランスを欠いていると感じます。
上場企業は公器といいますが、株主・事業成長・そこで働く人々への還元、これらをバランスよくやっているのが、私の考える良い上場企業であり投資に値する会社です。
配当性向という基準は、企業のマネジメントががこういった社会の公器たるバランス感覚をもってをもって経営をしているのかどうかを理解する重要指標でもあります。
高すぎる配当金を出している会社のマネジメントは注意したほうがいいでしょう。
配当性向という指標を見ることで
- 投資先の配当の安定性
- マネジメントのバランス感覚
もみることができます。
高配当は確かに魅力的ではありますが、その裏に何かリスクがないのか、配当性向をきちんと検証してから投資判断をしてみましょう。
なお、配当性向の指標を使った配当株の選び方については以下で書いていますので参考までに。