昨今の日本では人の採用と維持が非常に重要な経営課題になっています。
日本における事業内容はソフトウェア、サブスクリプション、サービスといった非ハードウェアが中心になってきているので、人が非常に重要なわけです。
これは世界的な傾向で、良い人材を採用し継続的に働いてもらうということがどこでも重要です。
私が事業を展開するにあたっても、ようやく「人が全てだな」と最近感じるようになりました。
HRの世界にもテクノロジーを導入し、より効率的な人事管理とより従業員にとって働きたい環境を作ることが非常に重要な時代です。
今回はそんなHRテック関連の銘柄を調べてみましょう。
私は以前にHRテックのPaycom Softwareに投資して大儲けをさせてもらっているので(現在進行系)、第二のPaycom Softwareを探せればいいとお思います。
- 対象:新しい投資テーマを探している投資家
- 得られること:グローバルでの有力なHRテック関連銘柄の概要
Paylocity
Paylocityはアメリカのシカゴを拠点とするHuman Capital Management Software会社です。
私がPaycom Softwareに投資するときにPaycom Softwareにしようか、Paylocityにしようか迷ってPaycom Softwareにしたのですが、結局二社とも同様のパフォーマンスを上げています。
売上高は2018年度でUSD 377M(約415億円)と小さい会社です。
同時期のPaycom Softwareの売上高がUSD 566M(622億円)ですので、売上高ではPaycomの約7割の規模。
株式の時価総額ではPaycomがUSD 10Bに対してPaylocityがUSD 4.5Bですので、時価総額はPaycomの約半分。
売上と時価総額の関係性を考えると、PaylocityはPaycomより割安なのではないでしょうか。
Paylocityが2019年2月9日に発表した決算は以下のように順調に売上が拡大しています。
Paycomとの時価総額の差を作っているのは利益率でしょう。
Paylocityの営業利益率(Operating Income ÷ Revenue)は5.2%しかありませんが、営業利益率が30%もあります。
この違いは、原価構造の違いです。
Paylocityの売上高対原価率が40%に対して、Paycomの原価率は16%です。
会計方針の違いはあるのでしょうが、この原価率の差によって、利益率が大きく差があるため時価総額も大きく差があるのでしょう。
ただ、Paylocityもサブスクリプションビジネスの常として売上高が拡大するとともに利益率も拡大していくと思われますので、今後の利益率の改善に期待しましょう。
Ceridian HCM
CeridianはDayforceというクラウドベースのHCMを提供している会社です。
2018年にIPOをし、USD 462Mの資金を調達しました。IPOとしては成功していましたね。
売上高はUSD 746MとPaylocity, Paycomよりも大型の会社ですが、時価総額はUSD 7BとPaycomよりも30%少ないです。
2019年2月6日に発表したCerian HCMの決算発表をまとめると以下のようになります。
売上高の伸びがYoY で11%増と少ないように見えますが、、クラウドサービスの売上は32%増と順調に伸びています。
PaylocityやPaycomと比べて注意しないといけないのは負債が大きく利払いがかさんでいることです。
IPOで得た資金で返済したとはいえ、2018年12月末時点での負債はUSD 670Mと大きく、2018年度はinterest expenseでUSD 83Mも支払っています。
負債の削減はCeridian HCMにとって急務です。
もっとも営業キャッシュフローは黒字転換していますので、売上高の伸びと比例して負債は削減され、利子負担も減り、利益率も上がっていくことが期待できますよ。
Workday
WorkdayはHRテックの先駆者とも言える企業で、クラウドベースの人事管理システムを最初に立ち上げた企業です。
いまでは人事管理システムというよりクラウドERPの会社といったほうが良いくらいですが、先駆者であるためHRテックのカテゴリーに含めましょう。
基本的には財務と人事にフォーカスしたERPです。
人事領域のHCMから始まって、財務領域にビジネスを拡大したという形です。
WorkdayはPaylocityやPaycomに比べて規模が格段に大きいです。
規模的にはWorkdayはPaycomの5倍、Paylocityの7倍の売上規模です。
創業は2005年と比較的最近ですが、急成長したのがわかりますね。
最近ではBIツールのAdaptive Insightsを買収して、更に事業領域を広げています。
Workddayは時価総額も巨大で、すでに4兆円を超える巨大企業です。
投資するのだとしたら、いまからWorkdayに投資するのではなくWorkdayが買収しそうな会社を先に投資しておくのが良いかなと思っています。
まとめ
今回はHRテック関連の有力企業を紹介しました。
他にも幾つか私が有力だと思う会社があるので、順次記事は更新していくつもりです。
Paycom SoftwareもHRテック企業ですが、以下の記事で紹介済みですので本稿では含めません。
日本でHR関連というと採用サービスの会社が中心になりますが、中長期的にはクラウドベースのHCMソフトウェアの会社の方が事業の安定性が高いと思います。
採用はどうしても景気動向に大きく左右されてしまいますが、HCMであれば景気がどうだろうと一回採用したらずっと継続的に企業は使い続けてくれるので、大きく景気の影響を受けず安定します。
HRテックのテーマで投資するのであれば、中長期的には採用以外をメインの投資先にしたほうが良いというのが私の考えです。
なお、HCMだと米国企業が中心になるので、HRテック関連ということで投資するなら米国株での投資になると思います。
HRテックについてはフォリオでもテーマがなく、HRテック専門のETFもなければ投資信託もありません。
ただ、投資テーマとしては非常に有望なテーマだと思いますので、あなたのポートフォリオの一環にぜひ検討してみてください。