あなたはディフェンシブ銘柄をどうやって選んだらいいと思いますか?
通常、株価が大暴落する局面で資産への大ダメージを避けられれば、その後の誰でも利益が出るような株価上昇局面で大きく資産を増やすことができます。
そのためには、株価が大暴落するような危機を乗り越えれるかどうかが鍵です。
危機を乗り越えるためには、資産の一部は危機的な株価暴落局面に強いディフェンシブ銘柄に投入することがおすすめです。
ディフェンシブ銘柄といっても何を選んだらいいかわからないと思っていませんか?
今回は「ディフェンシブ銘柄の選び方」に焦点を当てて私なりの考えを紹介します。
- 対象:投資ポートフォリオの安定化のために、ディフェンシブ銘柄を組み込みたい投資家
- 得られること:ディフェンシブ銘柄の選び方がわかります。
目次
ディフェンシブ銘柄を選ぶ目的
ディフェンシブ銘柄は地味で安定的な銘柄が多いです。
高配当な銘柄も無くはないですが、配当利回りも高くない銘柄が多いです。
株価が急激に上がることはあまりありません。
私も含め皆お金儲けしたいから株式投資をしているので、どうしてもメルカリ、Zozoといった誰しもが知っていて人気があり高成長な企業に投資をしがちです。
そういった知名度が高く派手な会社は、大きく株価が上がるような気がしますよね。
そんな中で敢えて退屈なディフェンシブ銘柄をポートフォリオに組み入れる意味は何でしょうか。
それは、一言で言えば株式市場が大暴落したときに資産を守るためです。
米中経済摩擦が起きようが、日本で南海トラフ地震が起きようが、パリでテロが起きようが、北朝鮮がミサイルを発射しようが、イギリスがEUを脱退しようが、世界的な感染症の流行が起ころうが株価が大きく下がらない銘柄を資産に組み込むことで、世界的な株価暴落局面でも資産を下支えすることができ、危機を乗り越えることができます。
過去の歴史上、株式市場は大暴落の後には大きく上昇していきますので、株価暴落局面を耐えきれば大きく資産を増やせる可能性が高いです。
ディフェンシブ銘柄の特徴
株価暴落局面に強いディフェンシブ銘柄に求められる特徴は何でしょうか?
ディフェンシブ銘柄は、以下の危機でも生き残れる銘柄です。
- 危機的な経済不況
- 危機的な円高・円安
- 危機的なインフレ
- 危機的な自然災害
- 危機的な国際紛争・国家間の経済摩擦
- 危機的な不動産価格の下落
- 危機的なナショナリズムの台頭
- 危機的な関税競争
- 危機的な資源価格の上昇・下落
- 危機的な感染症の世界的流行
もちろん、全てに対して無傷でいられる銘柄はありませんが、こういった危機でもビジネスへのダメージが少ない銘柄がディフェンシブ銘柄です。
ここからディフェンシブ銘柄の特徴を考えると、以下が該当します。
- 原材料の高騰を価格に転嫁できる
- 必需品・サービス:人間が生活を維持していく中で必需品あるいは社会を維持していく中で必需のサービス
- 経済が大不況でも需要が大きくは減らない
- 政府の政策とは関係なく、論理的に考えて需要は必ず増える商品やサービスを提供する
- 今後の政策として価格を下げる方向ではないモノやサービスを提供する
- 致命的な賠償責任を負う可能性が低い
原材料の高騰を価格に転嫁できること
ディフェンシブ銘柄と認定するには、その会社が原材料が高騰しても購入者に価格を転嫁できる能力がある必要があります。
原材料が高騰する理由は、為替、人件費の高騰、資源価格の高騰、関税率の上昇等様々あります。
多くの要因は一企業がコントロールしにくいものです。
そして、危機のときは原油価格が高騰したり、極端な円安になったり、関税をかけられたりなどして原材料・コストが上がりがちです。
原材料・コストが上がる局面で、企業が販売価格に転嫁できなければ、収益が悪化してしまいます。
危機を乗り越えるためには、コストアップを(部分的にでも)消費者・ユーザーに転嫁できる能力がある必要があります。
必需品・サービスを提供していること/経済大不況でも需要が減らないこと
危機的な状況のときには、人々は不要不急の支出を切り詰めようとします。
例えば、大地震が発生したときには、ディズニーランドに行くお金は削減してますよね。
一方、大地震が発生して危機的な状況になったとしても、生活をしていくためには電気は必要ですし、病院も必要ですし、壊れた建物や道路を補修する必要もあります。
危機的な状況のときに、支出の優先順位上位に位置づけられる必需品・サービスを提供している銘柄であれば、収益を上げ続けることができます。
政府の政策とは関係なく、論理的に考えて需要があり続ける商品やサービスを提供する銘柄であること
人口が増えれば、住宅需要は増えますし、食料品への需要は増えます。
高齢者が増えれば、高齢者向け施設への需要は増えますし、医療サービスの需要は増えます。
コンクリートでビルやインフラを作りまくれば、設備点検や補修の需要は増えます。
これらは政府の政策がどうであろうと、人口の変数によって需要増えたり、作ってしまったインフラの数によって需要が増えていきます。
政府がどんな政策を打ち出したところで、人口が増えてしまえば住むところは用意しないといけませんし、食料も必要です。
政府が何らかの政策を打ち出したところで、作ってしまったインフラの保守・補修需要が減ることはありません。
このような需要は政府の政策に依存しない安定した需要で、危機が起ころうがなんだろうが需要は存在し続けます。
政府の政策とは関係なく、論理的に考えて需要があり続ける商品やサービスを提供する銘柄に投資していれば、危機的な状況でも収益を上げ続けることができます。
政府の政策が価格を下げる方向に働いていないモノやサービスを提供する
最後に政府が今後の中長期的な政策として、あなたの投資先企業が提供するモノやサービスの価格を下げることを意図していないことが重要です。
需要が安定的に維持または増えるとしても、政府が販売価格を抑えてしまえば収益は上がりません。
例えば、医薬品の薬価については、日本政府は明らかに薬価を抑える政策を打ち出しています。
高齢者が増えて医療サービスへの需要が増えたとしても、薬価が大きく下落してしまえば収益は上げられません。
他の例として携帯通信費が挙げられます。
これも同様に日本政府や通信費を下げることを意図しています。
通信費を下げることでITの利用を普及促進することを意図しているのでしょうが、KDDI等の通信会社にとっては収益悪化要因でしかありません。
通信の需要が安定しているとしても、政府が通信費を下げる政策をとっている以上日本の通信会社はディフェンシブ銘柄として考えるとリスクがあります。
致命的な賠償責任を負う可能性が低い
電力会社はずっとディフェンシブ銘柄と言われてきましたが、福島原発事故で東京電力が巨額の賠償責任を負い株価が大暴落してしまいました。
チェルノブイリ原発事故を経験し、原発事故が起こった場合のインパクトは一般的に認識されていたにもかかわらず、原発を抱える東京電力のリスクが投資家には認識されていませんでした。
福島原発事故のケースのように、事故が起こったときに企業が潰れてしまうような巨額の賠償責任を負ってしまうような銘柄はディフェンシブ銘柄としては不向きです。
今後も大地震や国際テロ等で原発事故が起こる可能性はありますが、そのときに投資先の電力会社が東京電力のような巨額の賠償責任を負ってしまえば投資家は大損してしまうからです。
ディフェンシブ銘柄を選ぶ5つの基準
ディフェンシブ銘柄の特徴を見ましたが、どのような基準でディフェンシブ銘柄を選べば良いのでしょうか?
以下が当ブログが考えるディフェンシブ銘柄を選ぶ基準です。
- 価格転嫁力があるか
- どんな状況下でも需要は減らないか
- 政府の意向とは関係なく、中長期にわたって需要は増える方向にあるか
- 政府が販売価格を抑えていないか
- 最悪の事故が起こったとしても、致命的な賠償責任を負わないかどうか
具体的な業界の例で検証してみましょう。
医薬品銘柄
医薬品銘柄は長らくディフェンシブ銘柄と言われてきましたが、果たしてそうでしょうか?
ディフェンシブ銘柄の選び方から検討しましょう。
- 価格転嫁力があるか:先発品の場合は高い薬価が認められる場合もありますので、価格転嫁力はありそうです。
- どんな状況下でも需要は減らないか:災害時や経済不況でも、医薬品への需要は減らないでしょう。
- 政府の意向とは関係なく、中長期にわたって需要は増える方向にあるか:高齢者が増えていけば、需要は増えそうです。
- 政府が販売価格を抑えていないか:日本政府は薬価を抑制する方針ですので、販売価格は下がる方向に抑えられます。
- 最悪の事故が起こったとしても、致命的な賠償責任を負わないかどうか:医療事故が起こった場合は、巨額の賠償責任を負う可能性があります。
当ブログが提唱する基準を当てはめると、医薬品銘柄はディフェンシブ銘柄とは言えません。
インフラ保守銘柄
コンクリートの補修のようなインフラ保守銘柄は、名前の知られていない企業もありますがディフェンシブ銘柄に該当する銘柄があります。
- 価格転嫁力があるか:原材料や人件費が上がれば、販売価格を上げられそうです。ゼネコンが建築費を上げられていますので、保守・補修サービス費用も上げられるでしょう。
- どんな状況下でも需要は減らないか:災害時や経済不況でも、建物、道路、橋梁、エレベーター等、一旦建ててしまった設備の保守・補修の需要は減りそうにはありません。
- 政府の意向とは関係なく、中長期にわたって需要は増える方向にあるか:高度成長期に建てたインフラは、年月が経てば必ず保守・補修の必要があります。
- 政府が販売価格を抑えていないか:公共入札を除いて、政府はインフラの保守・補修サービスの販売価格を決められません。また、公共入札にしても、企業が利益が出ない価格で入札価格を設定してしまうと入札が成立しないわけですから、政府の価格コントロール力には限界があります。
- 最悪の事故が起こったとしても、致命的な賠償責任を負わないかどうか:建物やインフラに事故が起こった場合、所有者や建築業者の責任は問われるでしょうが、保守・補修業者が大きな責任を問われるとは考えにくいです。
このことから、インフラ保守銘柄はディフェンシブ銘柄と考えられます。
代表的なインフラ保守銘柄は、
- ショーボンドホールディングス
- ジャパンエレベーターサービスホールディングス
などです。
まとめ
ディフェンシブ銘柄の選び方について説明しました。
危機を乗り越えるためには、資産の一部でもいいのでディフェンシブ銘柄を組み入れ、資産を下支えすることがおすすめです。
今回はそんな資産を下支えするディフェンシブ銘柄を選ぶための5つの基準を紹介しました。
もちろん、今回提示したディフェンシブ銘柄を選ぶための5つの基準をクリアした銘柄でも、株価大暴落局面では株価が下がるでしょう。
ただ、きちんと基準を満たすディフェンシブ銘柄であれば、比較的株価下落の割合が低いことが期待できます。
株式投資ではすべてを失わなければ挽回するチャンスはいくらでもあります。
資産の中にディフェンシブ銘柄を組み込んでおけば、少なくとも全ての資産を一気に失うという状況になることは考えにくいです。
そして、危機が終了したあとの株価急回復局面で大きく資産を増やせる可能性があるというわけです。
あなたもディフェンシブ銘柄をきちんと選んであなたの大切な資産を守りつつ、大きな資産拡大の機会を手に入れましょう。