タワマンなど不動産についていろいろ調べるうちに、不動産業界は今後テクノロジーによって大きく変わっていくだろうという感触を持つようになりました。
金融がテクノロジーの利用により劇的に変わっていったように、不動産もテクノロジーによって大きく変わります。
いままで旧態依然とした業界だったからこそ、変わった時のインパクトは大きいと思います。
今回は投資家である私から見た「不動産業界に今後起こること」を紹介します。
私は不動産業界には全くの素人の投資家ですが、業界を知らないからこそ思い切った予測もできるかもしれませよ。
- 対象:不動産業界の今後に興味がある人
- 得られること:業界とは関係のない第三者から見た不動産業界の今後の変革の可能性がわかります。
目次
今後の変化1:マンション管理状況に外部評価が入り、評価結果が資産価値に直接的に反映されるようになる
マンションについて調べると、すべての人が「マンションは管理を買え」と言います。
マンションは買ってからの管理をちゃんとやることで、資産価値は上がるし、長く良いマンションを維持できます。
逆に管理がちゃんとしていないと、建物は劣化し、住民は逃げ、最終的には廃墟化するリスクすらあります。
ここで「なぜマンションの管理状況が公開されていないんだろう?」という疑問がわきます。
管理状況はマンションの売買においても非常に重要な情報です。
また、近隣住民や自治体にとっても管理が悪いマンションが出ると、危険であったり不審者が入り込んだり大きな問題が出ます。
だったら、マンションの管理状況を第三者機関で監査し、その結果を公表するようにしたらいいんじゃないでしょうか?
その情報があれば中古市場での売買もしやすいですし、管理状況が良いマンションの価格も上がるでしょうし、銀行も融資がしやすくなります。
そして、マンションの管理の良さをそれぞれのマンションが競い合うような競争状態を生み出せれば、管理不能になるマンションが出ることも少なくなり近隣住民や自治体にとっても安心です。
債券の世界ではムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズのような格付会社が格付けを付与しそれに基づいて債券が売買されます。
私はこれから日本のマンションについては管理状況について第三者の視点で審査し、格付けする評価サービスがでてくるのではないか、と予測します。
ぐぐってみたところ、東京都ではビューローベリタスが東京都優良マンション登録表示制度に基づいてマンションを評価したり、神戸市では超高層マンションの管理組合に対する認証制度が導入されようとしています。
このような地域単位での取り組みだけではなく、私は日本全土を同一の基準に基づいてマンションの管理状況を評価するサービスが出てきて、SUUMOやLIFULで中古マンションを探す時の検索項目にも入ってくると予測します。
そうすれば、SUUMOやLIFULのサイト利用者も、マンション管理状況を元に管理のしっかりしたマンションを選ぶことができるようになります。
現在の状況だと、マンション管理の状況を客観的に評価できないので、管理の悪いマンションを高値つかみするリスクもあれば、管理の良いマンションを安く手に入れる可能性もどちらもあり、運否天賦にまかせるしかありません。
不動産のような大きな買い物を運否天賦に任せて取引する時代は終わり、合理的な指標に基づいて取引する時代に変わります。
今後の変化2:マンションのコミュニティ管理ソフトウェアの活用が進む
米国ではAppFolioのProperty Managerというコミュニティ管理のソフトウェアがあります。
これはマンションにターゲットを絞ったソフトウェアではないのですが、日本の不動産業界ではマンション管理の強化が緊急の課題となっているのでマンション管理のためのソフトウェアの活用が進むでしょう。
このソフトウェアは、
- 管理組合と住民の間のオンラインベースのコミュニケーションの促進(掲示板など)
- 各種申請の電子化
- 管理組合の運営サポート
- マンションの管理費、修繕積立費などの会計処理の簡易化、可視化
等マンション管理に特化した機能を提供するクラウドソフトウェアです。
ソフトウェアの活用が進むことにより、管理状況を住民がきちんと監視できるとともに、銀行や自治体なども管理状況の把握が容易になります。
また、クラウドベースのソフトウェアを多くのマンション管理組合が使っていくことで、マンション管理のベストプラクティスが蓄積され、人工知能を活用したマンション管理の改善提案などもできるようになります。
不動産業界でのソフトウェアの活用というと顧客管理ソフトや案件管理ソフトがありますが、今後はもっとマンションの所有者やコミュニティにフォーカスしたソフトウェアがどんどん提案されてくると思います。
今後の変化3:不動産賃貸・売買の契約は完全に電子化される
現在は不動産賃貸・売買のほとんどのケースで紙の契約書が使われています。
紙の契約書は、
- 締結に時間がかかる
- 元本の保管が面倒くさく、手間がかかる
- 印紙代がかかる
という大きな問題があります。
紙で契約書を締結する理由は、「今までそうやってきたから」「紙に慣れているから」というだけです。
契約書を電子化することで大家さん側は多くの紙の元本を保管する必要がなくなり、大きく管理業務を改善することができます。
契約書が電子化されれば人工知能を使って契約レビューもできるようになり、契約書のレビューの時間も短縮できます。
すでにクラウドサインが不動産業界でも使われ始めていますが、今後加速度的に不動産取引に関する契約の電子化が進み、最終的には全ての不動産関係の契約書は電子化されると予測します。
今後の変化4:住宅のスマートホーム化が進み、大家が保有物件の管理をソフトウェアを使って行うようになる
米国ではAlarm.comといった新興のスマートホーム企業が隆盛してきていますが、日本でも住宅のスマートホーム化が進みます。
賃貸物件をスマートホーム化すれば、借り手を巡る激烈な競争の中でも非常に明確な差別化ができます。
同じ賃料でスマートホームとそうでないものがあれば、前者のほうが人気がでるような気がしませんか?
賃貸住宅においては、住民が変わると共に通常であれば物理的に鍵を交換する必要がありますが、スマートホーム化しておけばセキュリティの設定を変えるだけで済むので鍵の交換費用がかからないメリットもありますよ。
もちろん、SUUMOやLIFULのような不動産ポータルでも「スマートホーム」をキーワードに物件を検索できるようになります。
そして、スマートホーム化により大家の物件管理業務がより効率化できるようになります。
具体的には、スマートホームのデータを活用し保有物件で異常が発生したときに自動的にアラートが出るような仕組みができてくるでしょう。
そして、大家側は物件管理ソフトウェアを使って、保有物件の状態をいつでもどこでもモニタリングできるようになります。
このためスマートホーム化と物件管理ソフトウェアの導入は両輪で進んでいくはずです。
今後の変化5:最適な修繕計画や資金計画を人工知能で計算できるようになる
最後に、マンションの修繕計画や資金計画の立案において人工知能が活用されていくはずです。
いまマンションの修繕計画・資金計画は、マンションのデベロッパーがドラフトを作ったり、マンション管理組合で会議して決めていると思います。
ただ、十分なデータ量があれば、人工知能を使ってそのマンションに最適な修繕計画・資金計画案を作れるようになるのではないでしょうか。
マンションの構造、高さ、素材、立地等のパラメーターを入れていくと、コンピュータが最適な修繕計画と資金計画を提案してくれるイメージです。
マンションの保有者が全員一級建築士ではないので、マンション管理組合は基本的にはマンションの専門家集団ではありません。
このためマンション管理会社に都合のいいように搾取されたりするケースもあると思います。
これに対して、ベストプラクティスを元にコンピュータの計算で客観的に見て最適な修繕計画と資金計画を計算してくれるサービスがあれば、専門家集団でないとしても十分に合理的なマンション管理ができるようになります。
これは社会的にも非常に意義のある人工知能の活用方法だと私は考えます。
まとめ
今回は不動産には素人の株式投資家から見て、今後の不動産業界に起こることを書いてみました。
金融業界は20年前の金融ビッグバン以降大きく変わりました。
私は現状の不動産業界がビッグバン以前の金融業界に似ている気がしています。
これから不動産業界にもテクノロジーがどんどん導入され、不動産ビッグバンが始まります。
業界の大きな変革が起こる時、そこで勝つのは業界に長くいる専門家とは必ずしも限りません。
勝つのは業界の変革を先んじて予測し、リスクを取って投資する人です。
大きく変革する不動産業界への投資で大きな利益を得るためにも、あなた自身でも業界の変化を予測してみてください。
きっと良い投資のアイデアが浮かんできますよ。