タワマンの大規模修繕は所有者にとっては恐怖でしかないと思います。
修繕に向けた区分所有者の合意形成は難しいですし、修繕費も不足する可能性が高いからです。
一方で、投資という観点では、タワマンの大規模修繕はゼネコンにとってはおいしいビジネスチャンスでしょう。
なぜなら
- 大規模修繕の引き受けてがあまりいないため、修繕工事費で叩かれる心配は殆ど無い
- 通常のマンションの修繕に比べて、工事費が大きい
今回は、今後件数が大幅に増えるであろうタワマンの大規模修繕において、大きな収益を上げられそうな銘柄を紹介します。
分譲マンション施工ランキングから見る大規模修繕関連銘柄
マンションの大規模修繕については、基本的には施工したゼネコンが受けるケースが多いと思われます。
大規模修繕工事の難易度が高いため、マンションを一番知っている施工元のゼネコンが修繕も受けるのが最も合理的でしょう。
所有者の観点でも、施工元のゼネコンに工事してもらうのが一番安心だと思います。
では、どのゼネコンが分譲マンションの施工件数が多いのかを見てみましょう。
少し古いデータですが、東京カンテイの「ゼネコン別 分譲マンション施工実績ランキング(2013年)」からデータを拾ってみます。
これによると、上場会社では
- 長谷工
- 鹿島建設
- 三井住友建設
- 清水建設
- 前田建設工業
- 大林組
- 大成建設
- 安藤ハザマ
- 熊谷組
- 淺沼組
- フジタ(大和ハウス工業)
あたりが200戸以上の大規模マンションの施工実績上位です。
なお、200戸以下のマンションとなると大末建設が長谷工についで二位に食い込んできます。
投資先としてのマンション大規模修繕関連10銘柄
では、具体的に大規模マンション関連で中長期的な収益を挙げられそうなゼネコンはどこでしょうか。
基本的な考え方としては、スーパーゼネコンに準大手ゼネコン数社を組み合わせて投資しておけばいいでしょう。
なお、淺沼組は売上高が他に比べて小さすぎるので、投資の安全性を考慮して外しました。
また、フジタの親会社の大和ハウス工業は自己資本比率が低すぎるため、これも外しました。
つまり、
- 鹿島建設
- 清水建設
- 大成建設
- 大林組
- 長谷工
- 三井住友建設
- 前田建設工業
- 安藤ハザマ
- 熊谷組
- 戸田建設
の10銘柄です。
マンション大規模修繕関連銘柄の営業利益率と自己資本比率
大規模マンションの施工実績上位がそのまま大規模修繕関連銘柄になると見ていますが、投資するのであればできるだけ利益率と自己資本比率が高い銘柄を優先にしたいです。
そのほうが投資の安全性が高いですからね。
営業利益率と自己資本比率をまとめると以下のようになります。
銘柄 | 営業利益率 | 自己資本比率 |
---|---|---|
鹿島建設 | 7.2% | 36.0% |
清水建設 | 7.8% | 39.2% |
大成建設 | 9.3% | 39.0% |
大林組 | 7.6% | 34.7% |
長谷工 | 11.0% | 47.5% |
三井住友建設 | 6.5% | 26.0% |
前田建設工業 | 7.3% | 33.3% |
安藤ハザマ | 6.6% | 38.0% |
熊谷組 | 6.8% | 38.1% |
戸田建設 | 6.8% | 39.9% |
ゼネコンは以前の建設不況でバタバタと倒産した悪いイメージがあったので、あまり決算内容をちゃんと見たことはなかったのですが、改めて短信を見ると驚くほど決算内容は良いですね。
特に上位のゼネコンは儲かっています。
ゼネコンはひょっとしたらポートフォリオの中核に入れてもいいくらいではないかとさえ思いました。
まとめ
今後中長期的に大きな需要が出るであろうマンションの大規模修繕は、株式投資でも大きなビジネスチャンスではないか、という観点から関連銘柄を調べてみました。
基本的には上位10社にまとめて投資しておけばいいのではないか、というのが当ブログの考え方です。
また、今回リストアップした銘柄は、マンション大規模修繕だけでなく、これから需要が確実に増える建物やインフラの保守という点でも大きな役割を担う会社です。
日本では従来バンバン新規の建物を作ってきましたが、人口減少社会を迎える中で建設の需要が保守・修繕に向かう時代になりました。
こういった観点で、大手ゼネコンは中長期的に収益を拡大できる余地が多いと思います。
ゼネコンについては昔の負のイメージをもっていましたが、今や完全に生まれ変わったといっていいでしょう。
新時代のゼネコンへの投資も真剣に考えてみましょう。