中国の経済は中長期的に持続的な成長を遂げていくと思うのですが、その場合中国の通貨である人民元はどうなるのでしょうか。
一般的には経済が強くなれば、通貨も強くなる可能性のほうが高いです。
過去の日本を見ても、経済成長の過程でどんどん円の価値は上がっていきましたからね。
ここから中長期的に人民元の価値が高くなると仮定すると、人民元をFXで長期投資しても大きなリスクはないように感じます。
人民元は現在スワップポイントも比較的に高い水準にあるので、メキシコペソ同様に人民元もFXで長期保有しているとスワップポイントで生活ができそうに思えますが、どう思いますか?
今回は人民元FXのスワップポイントで生活ができるのかどうかを検証します。
- 対象:不労所得を得る手段として人民元FXの可能性を知りたい投資家
- 得られること:人民元FXのスワップポイントで生活できるのかが分かります。
人民元FXのスワップポイントはいくらか
みんなのFXを例に取ると、人民元の買スワップポイントは1lotあたり1日10円です。
人民元/円のレートは現在14.853で、1lotは1万通貨を意味します。
つまり、1lotの人民元を買うというのは日本円換算で148,530円分の人民元を買うという意味です。
1日の買いスワップが10円ですから、一ヶ月で300円、1年でおおよそ3,600円分のスワップポイントをもらえる計算です。
3,600円 / 148,530円で計算したレバレッジ1倍時の人民元の年間運用利回りは2.4%です。
年間運用利回り2.4%だと寂しいのでもう少しリスクをとることを考えてみましょう。
中国経済においては地方銀行が破綻し始めています(參考:浮上する中国での地方銀行の破綻懸念)
今後中国経済で何が起こるかわからないため、レバレッジ3倍でリスクを厳格にコントロールすることを考えましょう。
現在の人民元/円レートでレバレッジを3倍とすると、必要な証拠金は148,530 / 3 = 49,510円です。
人民元/円をレバレッジ3倍で買った場合、証拠金49,510円に対して年間スワップポイント3,600円がもらえるのですから、運用利回りは7.2%となります。
流石にメキシコペソほどのスワップポイントはもらえませんが、中国は世界第二位の経済大国ですのでそこまで高い利回りにはなりませんね。
人民元FXで月収20万円を稼ぐ方法
では、人民元FXのスワップポイントで月収20万円を稼ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
1lotあたりの月間スワップポイントが300円ですから、200,000円を稼ぐためには667lotを買う必要があります。
667lot = 14.853 x 10,000 x 667 = 9,900万円分の人民元を買う必要があります。
必要証拠金は
- レバレッジ3倍で3,300万円
- レバレッジ10倍で990万円
- レバレッジ25倍で396万円
です。
何も失うものがない死んでもいいくらいの若者であれば、約400万円を投入することで人民元FXで月20万円分のスワップポイントを得ることができます。
もちろん、そんなハイリスクを取ることは私は絶対オススメしませんが。
仮に400万円で9,900万円分の人民元を14.853円で買い17円まで動けば、(17-14.853) x 10,000 = 214万円儲けられます。
ただ、リスクを取ったにしてはリターンが少なすぎですね。
私が人民元FXをやるのであれば以下くらいが限界だと思います。
- 人民元/円のレートが11円を切ったら
- 200万円の証拠金を投入し
- 100lotを上限に人民元を買って
- 年間36万円のスワップポイントを貰う
それでも月収3万円にしかならないのですから、人民元FXのスワップポイントで生活するのは難しいです。
人民元は高金利通貨といいますが、メキシコペソ、南アフリカランド、トルコリラといった代表的な高金利通貨に比べると劣りますね。
人民元FXのリスク
人民元FXは中国の経済に大きく影響されます。
基本的に為替は経常収支が黒字であれば強いままで、経常収支が赤字になると弱くなる傾向にあります(米国は基軸通貨を持っているので別として)。
中国は世界の製造の拠点として輸出で稼いでいて経常収支は黒字だという印象がありますが、実は中国の経常収支黒字はなくなるという見方があり、これが人民元FXの一つのリスクです。
こんな記事も出ていますね。
Why China’s current account balance approaches zero
この記事でエコノミストの指摘として紹介されているのは
- 中国の高齢化により貯蓄率が下がってきている
- 中国の人々が豊かになったことにより消費が拡大していて中国の海外での消費が増えている
ことが中国の経常収支の悪化を招いているということです(これについては反対意見も紹介されています。
私の観点でいうと近年製造拠点としての中国の位置づけが弱くなっており、製造業は中国以外の国に製造拠点を移しつつあります。
あまりにも中国での製造に依存しすぎているのは、米中貿易摩擦のようなことが起こった場合に企業にとって大きなリスクになるためですね。
中国の高齢化による貯蓄率の悪化、海外での消費拡大とあわせて、根本的な中国の外貨を稼ぐ能力が落ちていく傾向にあることも中国の経常収支が悪化する懸念です。
このように構造的に中国の経常収支が悪化していく傾向にあることが人民元FXのリスクです。
まとめ
人民元相場が大きく変動していることから、人民元FXによるスワップポイントで生活できるんじゃないか!?と思って検討してみました。
私の見方では安全に人民元FXのスワップポイントで生活するのは無理です。
レバレッジ25倍とかの超ハイリスクを取れば不可能ではないですが、少し相場が下落しただけでもすぐにロスカットされてしまいますので、全くおすすめしません。
人民元/円の相場が5円とかの超極端な事態になれば話は別ですが、さすがに人民元/円が5円にはならないでしょう。
FXのスワップポイントで生活をしようとするなら、素直にメキシコペソ/円で取り組んだほうがより安全に実現できると思いますよ。
人民元相場同様メキシコペソ/円も大きく動いているので、どうせやるならメキシコペソ/円に取り組んでみましょう。
以下の記事も参考してみて下さい。